放置自動車撤去-相続放棄・相続財産法人とは
放置自動車撤去サービスを行っていますオートランド東京です。
今回は、ご相談を受けるなかで多いケースとなります、所有者が死亡した自動車が放置されたままになり、相続権者が全員相続放棄している場合のお話しです。
月極駐車場に賃料未納のまま長期間自動車が放置され、契約者と連絡が取れなくなってお困りというご相談を不動産会社、土地オーナー様より多くお受けします。
そのような場合にまず弊社からのアドバイスは、まずは対象自動車の所有者が契約者と同一かどうかを確認することです。
使用者だけではなく所有者も同一か要確認
ほとんどの場合は同一人なのですが、知人から借りた自動車を停めていたり、中でも多いのは所有権留保(所有者名義がディーラー、ローン会社等の所有権会社)があるケースもあります。
所有権会社名義の場合には、支払いが滞っていると債権として回収してもらえることもあります。
その際の費用は所有権会社が負担しますので費用がかからず法的リスクも無く撤去完了となります。
ローンが完済されている場合、対象自動車に担保価値が無い場合には回収してもらえず、処分に異議はないのでそちらで対処してください、というような状況になります。
弊社でご相談をお受けした案件でも、所有者調査を行った結果所有権会社回収となり早期解決したケースは多々あります。
その為、放置自動車の対処を進めるにはまずは所有者照会を行う事が重要です。
施錠されている状態でも、ナンバープレートより普通車は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会で申請を行い照会が可能です。
照会方法はこちらのページに掲載していますので参考にしていただければと思います。
【放置車両撤去の教科書】専門業者が教える3つの具体的な撤去方法・費用・法律・注意点
ナンバープレートが無く施錠されている場合には上記照会が行えません。
そのような場合の対処については法的問題が絡み長い話となり今回の本題と逸れますのでここでは省略致します。
所有者が他界されていたら
本題に戻りますが、賃料滞納が始まり契約者保証人家族への連絡、所有者照会により判明した住居への書面通達、親族からの連絡等により対象自動車の所有者が死亡されたと判明する場合があります。
自動車は動産として相続財産の1つとなり、相続権者が手続きを行う事により所有権を移転します。
しかし、相続権者全員が相続放棄した場合、相続人が居ない場合には所有権が移転されずその自動車は誰の所有権も無い状態となってしまいます。
そのような場合は、所有権者がいないということで勝手に処分しても問題は無い、ということにはならないのが今回の問題の難しいところです。
一体誰に対して対処すれば良いのか、法的な問題によりとても難しい状況となります。
例えば、所有権移転はしなくて良いし、未納金の請求も行わないので、ただ自動車を撤去したいというだけの要望を達成する為に、相続権者に処分の同意書をもらうというのはいかがでしょうか?
これは法的には効力を有しません。相続放棄された場合には相続権者ではなくなるので、相続財産に対しての何の権限も無いからです。
但し、法的効力は無くとも協力的な相続権者がいるのであれば、相続権者全員異議無しという内容を任意で同意してもらうことは有効かと思います。
そもそも、本当に相続権者全員による相続放棄の手続きが裁判所に行われたかということは、相続権者に証明書を見せてもらうか裁判所への照会を行わないと100%の確認は行えないからという事もあります。
相続財産法人と相続財産清算人
それでは、相続人のいない財産(ここでは放置自動車)は誰のものなのでしょうか?
民法第951条では、相続人が存在しない場合にその財産を法人とすると定められています。
これを相続財産法人といいます。
財産が法人?と理解が難しい内容となりますが、相続財産を清算するための相続財産清算人を選任する場合、清算人は誰にとっての代理人であるかが不明瞭となる為、擬制法人とするものです。
放置自動車に困っているのなら相続財産法人の財産として清算人を立てて手続きを行えば良い、ということになりますが、ここで支障となるのは申し立て時に数十万から百万円程度の予納金が必要となるということです。
清算人の報酬、経費を予納し、対象財産を清算した時に足りなければ予納金から精算となります。
対象自動車に価値が無ければ申し立て者にとっては大きな負担となってしまいます。
それならば、清算人も選任されていなし勝手に処分してしまおう、というのはどうでしょうか?
被相続人の財産に対して権利を有するのは相続権者のみではありません。被相続人による不払いや損害を受けた債権者が他にもいる場合もあります。
そのような場合には債権者は相続財産清算人の選任を申し立てることができ、財産の1つとなる自動車の廃車処分に異議を申し立てる可能性があります。
また、他人の財産である自動車を勝手に処分すると、刑法による器物損壊罪に問われることとなりますが、所有者だけではなく、これは相続財産法人の清算人も告訴する権限をもちますので法的問題が生じます。
対象自動車が無価値だった場合、費用と時間をかけてまで清算人が器物損壊行為として問うかというと疑問は残りますが、あくまで法的にはリスクが残るということなります。
放置自動車の撤去被害回復は容易ではない
このような事より、相続放棄され相続権者が存在せず、車輌価値の無い放置自動車についても安易な撤去処分を行わず、慎重に対処しリスクを減らす必要があると言えます。
オートランド東京では、過去の事例もふまえてリスクを減らしての放置車自動車問題解決をサポート致します。
お困りの場合にはまずはお気軽にお問い合わせください。
[実質負担額0円~で放置車両を撤去]放置車のご相談はオートランド東京
※当内容は弊社が今までの業務で得た知識情報により書いた記事となります。
ご参考程度にお読みいただき、正しい法律解釈は弁護士にご相談ください。